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Queen Mab 和名 クィーン・マブ
地域 ---
解説 夢を支配するという妖精。
妄想を産む妖精の産婆 fairies' midwife (フェアリー・ミッドワイフ) とも夢魔 nightmare (ナイトメア) とも 同種に扱われる。
語源はウェールズ語の mab (マブ) , maeve (メイヴ) = child (子供) に由来すると言われ、mabel (マベル) = boy の縮小された もの、Dame Abonde (ダーム・アポンド) からとも言われる。
ケルト神話の Queen Mebth (クィーン・メイヴ) から由来したとも言われている。
神話のメイヴ女王はコノートの狡猾な支配者で、アルスター国との長い戦いはこの女王のそそのかしによると言われる。
妖精の女王としてティタニアとも混同されてくる。
シェイクスピアは、「眠っている人間の顔の上を榛(ハシバミ)の実の殻の車に乗って横ぎると様々な夢になる」(「ロミオとジュリエット」 1幕4場)と言っている。
人の髪や馬のたてがみの毛をもつれさせると言われる。これは、elf-lock (エルフ・ロック) と言う。
身体は芥子粒位の小さな夢の妖精の女王として描いている。
ミルトンは「ラグレロ」の中で Faery Mab (フェアリー・マッブ) と呼び、ベン・ジョンソンは「サチュロス」の 中で Mistress Faery (フェアリーの女の支配者) としてティタニアと同じ位置を与えている。
ドレイトンは「ニンフィディア」でオベロンの妻とし、ヘリックは 「ヘスペリデス」で Elfin majesty of the Dream (エルフィン・マジェスティ・オブ・ザ・ドリーム/夢の女王) とし、 シェリーは長詩「マブ女王」で彼女を妖精の女王 Fairy Queen (フェアリー・クィーン) , Queen Mab (クィーン ・マブ) , Queen of Spells (クィーン・オブ・スペル) と呼んでいる。
ドイツのシェイクスピア訳者ヴォスは、古代英語の queen (quen , cwen) は単に、maiden (乙女)、woman (女性) を意味し、 female elf (女性の妖精) の意にすぎなかったが、次第にティタニアと同様 Queen (女王) の位置を与えられる様になったという。
なお、Scantily Mab (スキャントリー・マブ) はスコットランドに伝わる糸紡ぎの妖精で Habetrot (ハベトロット) の召使いである。

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