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Banshee 和名 バンシー/浅瀬の小さな洗濯女
地域 アイルランド/スコットランド高地地方
解説1 由緒ある古い家の家族の死を嘆き悲しむ死の精。
何人かのバンシーが同時に泣く時は、優れた人物か徳の高い人の死を予言する。
髪を長くたらし、緑色の服に灰色のマントをまとっていて、眼は真っ赤に泣きはらしている。
スコットランドの高地地方では「浅瀬の小さな洗濯女」と呼ばれ、やがて死ぬ人の経かたびらを洗いながら泣叫ぶ。
解説2 バンシーはアイルランドとスコットランドの両方でよく知られている。
スコットランドでは、しばしば [悲しみの洗い手/ザ・リトル・ウォッシャー・オブ・ソロー] とか [浅瀬の洗い手/ザ・ウォッシャー・アト・ザ・フォード] とか呼ばれる。
近いうちに死ぬことになっている人の衣服を洗いながら、バンシーが川のほとりで嘆き悲しむ泣き声が、 しばしば聞こえるといわれる。
もし彼女をつかまえて離さずにいれば、死ぬことになっている人の名前を教えてもらえるし、 その上、三つの願い事を叶えてもらえる。
バンシーは美しくはなく、鼻の穴はひとつで、大きな前歯が突き出ており、足には水かきがついている。
アイルランドのバンシーは、ただ旧家の家族の者のためにだけ泣く。
いく人かのバンシーが一緒に泣き叫ぶ時は、偉大な人か、聖なる人の前ぶれである。
バンシーは流れるような長い髪をして、緑の服の上に灰色のマントをはおっている。
その目は耐えず泣いているため、火のように赤い。
スコットランド高地地方では [バンシー] という語は妖精の女を意味するだけであり、主として人間と結婚した 妖精について用いられる。
Baobhan Sith
Baoban Sith
和名 ブイボン・シー/バーヴァン・シー
地域 高地地方
解説1 バンシーと同系の言葉で、「妖精の女」という意味だが、普通は人の血を吸う危険で邪悪な悪霊をさす。
解説2 邪悪な吸血妖精で、時にはカンムリガラスやワタリガラスとなって現れるが、 概して美しい娘の姿をとり、鹿の蹄のような足を緑の着物の長い袖で隠している。
4人の若者の話がある。
ある夜のこと、4人は荒れ果てた羊飼小屋で仮寝をしていた。すると、4人の美しい娘がやってきて、 それぞれの相手になろうと申し出た。4人のうち1人で口笛を吹いていた若者が突然仲間達の体から、 血がぽたぽた垂れているのに気がついた。恐ろしさに慌てふためいて逃げ出すと、後を相手の娘が追いかけてきたが、 若者は馬の群れの中に逃げ込んだために体に触れられずにすんだ。朝になって若者がもとの場所に戻ってみると、 血を抜き取られた仲間たちの死体があった。死んだ仲間の相手をしたのは、怖るべきバーヴァン・シーだったのである。
Barguest
Bargest
和名 バーゲスト/バーグェスト
地域 イングランド北部および東部
解説1 お化けの一種。2本の角、鋭い歯と爪を持ち、眼はギラギラと光っている。
解説2 [ボギー・ビースト] と同じ様な種類の恐ろしい生き物。
時には人間の姿をして現れるが、普通は動物の姿をしている。
漁村では、バーグェストの葬式は死の前ぶれと思われている。
どんな姿になる場合でも、燃える石炭の様な目をしている。
一般に動物の様な爪をして、角と尾が生え、がちゃがちゃ鳴る鎖を腰にしめている。
Bauchan
Bocan
和名 バホン/ボーカン/ボカン
地域 スコットランド
解説1 ホブゴブリンのような精霊で、いたずら好きな時もあれば、危害を加える事もあり、また人の役に立つ事もある。
移住した主人についてアメリカまでいったバホンの話が伝えられている。
解説2 高地地方の妖精で、[ホブゴブリン] と [ボガート] の中間の様なもの。
自分の主人を助けてみたり、困らせてみたりするのボーカンの話をキャンブルは伝えている。
それによれば、非常に忠実で、主人がオーストラリアに移民したときには付いて行き、 畑を切り開く手助けをした。
Bean nighe 和名 ベン・ニーイヒ
地域 高地地方およびアイルランド
解説 洗濯する女。バンシーの一種。
Beithir 和名 ベーヒアル
地域 高地地方
解説 洞窟やほら穴に出没する悪霊。
Bendith Y Mamau 和名 ベンディス・イ・ママイ/ベンディス・ア・マンマイ/母の祝福
地域 ウェールズのグラモーガンシャー
解説1 妖精の事。子供をさらい馬を弱らせ家々を訪れる。鉢一杯の牛乳が出しておかれた。
解説2 [母親の祝福/マザーズ・ブレッシング] というのがグラモルガンシャーでのこの妖精の名前である。
これは妖精一般の習性でもあるのだが、[妖精の馬乗り/フェアリー・ライド] をして息を切らした馬を乗り捨ててしまう。
その馬が家にやって来るので、人々は牛乳を入れた鉢を彼らのために出しておく。
Biasd Bealach Odail 和名 ビースト・ベアロック・オデール
地域 高地地方
解説 スカイ島のオデール峠の魔物。
Billy Blind 和名 ビリー・ブラインド/めくらのビリー
地域 国境地方
解説1 家につく好意的なホブゴブリンで、よい助言を与える。
解説2 主にバラードの中に登場する国境地方の親しみやすい家事好き妖精。
その目はバンドで目隠しされている。
[オールド・フーディー] や [ロビン・フッド] は、おそらくこの同じ妖精の別の呼び名であろう。
ビリー・ブラインドの主な役目は、良い助言を与えることの様である。
「若いベキーのバラード」の中で、忠告を与えてバード・イゾベルを助けたのはこのビリーであり、 義母に魔法をかけられた若妻をもとに戻したのもビリー・ブラインドの助言である。
Billy Winker 和名 ビリー・ウィンカー
地域 ランカシャー
解説 子どもを寝かしつける精。
Black Annis 和名 ブラック・アニス/真暗アニス
地域 レスターシャー
解説1 青白い顔で目が一つしかない、悪意ある妖婆。
その性格は、高地地方のカイラック・ウ゛ェーラとよく似ている。
デーン丘の洞穴に住み、小羊や幼い子どもをとって食うといわれた。
解説2 青い顔をした、ひとつ目の邪悪な妖婆(ハグ)で、性質は高地地方の [カリヤッハ・ウ゛ェーラ] と 非常によく似ている。
この妖婆の洞穴はデーン丘にあったが、今は埋まってしまっている。
子羊や幼い子供を貪り食う妖婆である。
Black Dogs 和名 黒犬/ブラック・ドッグ
地域 イギリス各地
解説1 黒犬にまつわる物語はイギリス各地に見られる。
たいてい危害を加えるが、人の役に立つ事もある。
解説2 ブラック・ドッグは、大きく(ほとんど幼い子牛程の大きさ)黒く、毛深く、燃える様な目をしている。
放っておけば何も悪い事はしないが、もし言葉をかけたり触ったりすれば、その人はたちまち感覚を失い、すぐに死んでしまう。
ブラック・ドッグの話は、国中の至るところにある。
ある黒犬は、マン島のピール城の番兵の詰所に出没する。
バッキンガムシャー、ハートフォード、ケンブリッジ、サフォーク、ランカシャー、ドーセット、それにデウ゛ォンの各地にも、 ブラック・ドッグにまつわる話がある。
「イギリスの妖精と民話」の中に、非常によくかかれたブラック・ドッグの記述がある。
Black Stockings 和名 黒靴下/ブラック・ストッキング
地域 オックスフォードシャー
解説 馬を押さえるために使う黒い靴下や、ビロードのタイツの中に住むいたずら者の妖精で、 オックスフォードシャーのアッショール丘にいる。
その丘の近くには、古い墳墓がある。
Blue Burches 和名 ブルー バーチズ/青ズボン
地域 サマセット
解説 ブラックタウン丘陵のある靴屋の家にあらわれたホブゴブリン。
Blue Cap 和名 ブルー キャップ/青帽子
地域 国境地方
解説 炭坑で運搬夫の仕事をし、賃金を受け取ったホブゴブリン。
Blue Men of Minch
Blue Men of the Minch
和名 ミンチ海峡の青い亡霊/ブルー・マン・オブ・ザ・ミンク/ミンクの青い男
地域 高地地方
解説1 高地地方の北のはずれとルイス島の間のミンチ海峡、とくにその中の小島ロング島とシアント島の間に出没した。
船が通りかかると泳いでいって難破させた。だが、船長が押韻ゲームに勝つと災いは避けられた。
堕天使と考えられている。
解説2 このブルー・マン達はミンクにしかいないもので、ことにロング島とシャイアント島の海峡に出没する。
邪悪な男人魚で、身体いちめん青い色をしている。
海峡に入ってきた船に泳ぎ寄っては、それを捕まえて沈めてしまう。
だが、口が達者だったり、ことに即座に詩が作れるなら、ブルー・マン達を困らせる事ができよう。
自分達に素早く答えたり、決してやり込められない船長には、手出しができないからである。
船を難破させるほか、せわしない動きで嵐を引き起こしたりする。
ブルー・マン達が眠っている時だけ天気は良い。
島の人々は、その場で [陽気な踊り手/メリー・ダンサー] や [オーロラ・ボレアリ] と呼ばれる妖精と同じ様に、 彼らの事を堕天使だと思っている。
Bodach 和名 ボダッハ
地域 スコットランド
解説1 子供のしつけに使われたお化け。煙突からおりてきて悪い子をつかまえる。
[Boda Glas/ボダッハ・グラス] は暗い灰色の男で、死の前兆される。
解説2 [バッグベア] あるいは [バッガ・ブー] のスコットランドでの呼び名。
いたずら坊主を連れに、煙突を降りてくる
Bodachan Sabhaill 和名 ボダハン・サウィル
ボダハン・ソウィル/納屋の小さな老人(リトル・オールド・マン・オブ・ザ・バーン)
地域 高地地方
解説1 納屋の小さな老人。納屋に住むブラウニ−で、老人を気の毒がって代わりに穀物を打ってやる。
解説2 納屋の [ブラウニー] で、年寄りに同情して代わりに穀物を打ち、藁を束ねたりする。
Bodca-an-Dun 和名 ベダカン・ドゥン
地域 高地地方
解説 ロスマーカス家の妖怪。死の前兆とされた。
Bogey Beast 和名 ボギー・ビースト
地域 イギリス各地
解説 いたずら好きなホブゴブリン。
Boggart 和名 ボガート
地域 北部地方
解説1 いたずら好きなブラウニ−で、その習性は、ほとんどポルターガイストと同じである。
解説2 北国の妖精。[ブラウニー] のうちのいたずら者と似ている。
やる事や習性は、[ポルター・ガイスト] (騒音をたてる精霊)と全く同じである。
Bogles 和名 ボーグル
地域 スコットランド/北部地方/リンカンシャー
解説1 邪悪なゴブリン。
解説2 ヨークシャーの [ボガード] がスコットランド風に変形したもの。
とは言えその習性は、家事だけに専念するというものではない。
Boobrie 和名 ブーブリー
地域 スコットランド
解説1 スコットランドのアーガイルシャーの湖に住みつく巨大な水鳥。
けたたましい声で鳴き、足には水かきがある。放牧の羊や牛をとって食う。
解説2 アーガイルシャーの湖に住む巨大な水鳥。
大きくかん高い声を出し、足には水かきがついており、羊や子牛を飲み込んでしまう。
形は大きな鵜に似ている。
Booman 和名 ブーマン
地域 シャットランド/オークニー諸島
解説1 ブラウニ−に似たホブゴブリン。
その他に、ブーマンの名前は「打て、ブーマン、打て」や「ブーマンは死んじゃった」などの遊び歌に残っている。
解説2 [ブラウニー] のような [ホブゴブリン] 。
その名前は他の土地でも「ブーマンは死んでもう居ない」というレイディ・ゴムが記録している歌遊びの中に残っている。
ヨークシャーでは、[バーグェスト] の別名として [ボーマン] がある。
Boneless 和名 ボーンレス/骨なし
地域 ---
解説 レジナルド・スコットが「魔術の発見」の中で言及しているが、具体的な特徴については記述していない。
Brag 和名 ブラッグ
地域 北部地方
解説 いたずら好きなホブゴブリン。自由に姿を変える事ができるが、馬の姿でいる事が多い。
Brollachan 和名 ブロラハン
地域 高地地方
解説1 形のないものという意味のゲール語。
ブロラハンについての「だれでもない」型の話が、キャンベルによって採録されている。
スペンスにも言及されている。
解説2 ブロラハンとは、形のないものを意味するゲール語で、 おそらくレジナルド・スコットの [ボーンレス/骨なし] に似たものの事であろう。
フーアの子であるブロラハンの話が、キャンブルによって記述されているが、 それは「エインセル」と同じ様な筋だてである。
Brother Mike 和名 ブラザー・マイク/マイク兄(あに)い
地域 サフォーク
解説1 人間にとらえられた妖精の名。
解説2 サフォークの民話に出てくる小さな妖精で、[スキリーウィデン] と非常によく似通っている。
Browney 和名 ブラウニ−
地域 コーンウォール
解説 みつばちの守護精。
Brownie 和名 ブラウニ−
地域 イングランド北部地方/スコットランド高地地方
解説1 もっともよく知られた働き者のホブゴブリン。
イングランドの北部地方からスコットランド高地地方にかけて、広く知られている。
解説2 最もよく知られた勤勉で家事好きな [ホブゴブリン] 。
ブラウニーのいる土地は、北イングランド全域からスコットランドの高地地方に及んでいる。
ブラウニーは、身体が小さくボロをまとっており、そして毛深い。
ある人達の言うことには、その鼻はとても小さく、やっとのことで鼻の穴が2つ付いているという。
進んで家の雑用をみな片付けるが、ときにはきちんとなっていたものを散らかしてしまう。
女主人のために、馬に乗って産婆を連れに行く話がいくつかある。
ブラウニーはどんな報酬も受けられず、家から追い出すもっとも確実な方法は、着物を一揃い置いておく事である。
パンや牛乳やその他の食べ物をさりげなく出して置くのはよいが、その場合には、人目につかない様にしてやらねばならない。
コーンウォールのブラウニーも、同じ性質である。
ブラウニーの特別な仕事は、蜂を居着かせる事である。
蜂が群れているのを見つけると、普通主婦はブリキを叩いて鳴らして、目には見えないがブラウニーがやってきて仕事をし始めるまで、 「ブラウニー!ブラウニー!」と呼び続ける。
Brown Man of the Muirs 和名 ミュア家の茶色服の男/ブラウン・マン・オブ・ザ・ミュアーズ/ミュアーの茶色男
地域 国境地方
解説1 野生の動物を守る精。動物を殺す人間には危害を加える。
解説2 荒野(ムーア)に住む妖精で野生の生き物を守っているが、人間に対しては邪悪で危険なものである。
Bucca 和名 ブッカ
地域 コーンウォール
解説 ホブゴブリンの一種。黒いブッカと白いブッカがいるという。
Buckie 和名 バッキー
地域 スコットランド
解説 いたずら好きなスコットランドの妖精。
「バッキー、バッキー、祈っておくれ」という民謡は、この妖精に呼び掛けていると考えられる。
アイルランドでも知られている。
Bug-a-boo
Boggle-bo
Bugbear
和名 バガブー(バッガ・ブー)/ボグルボー(ボッグルボー)/バグベア(バッグベアー)
地域 ---
解説1 子供のしつけに使われたゴブリン、お化けの類。悪い子をつかまえにくる、などとされた。
解説2 この [ボギー] には、非常に多くの違った名前があり、一般に子供を恐がらせて、 おとなしくさせるのに使われた。
Buggane 和名 バゲーン
地域 マン島
解説 非常に悪意のあるゴブリン。
Buggan
Bugan
和名 バガン
地域 チェシャー/シュロップシャー
解説1 いたずら好きなホブゴブリンの一種。
解説2 チェシャーとシュロップシャーに見られる [ボギー] のひとつ。
Bullbeggar
Bull-Beggar
和名 ブルベガー/ブル・ベガー
地域 ---
解説1 レジナルド・スコットがあげた恐ろしい精霊のひとつ。
サマセットのクリーチ丘のブルベガーの話がタングによって採録されている。
サリー州にはいまでもブルベガー通りとよばれる地方が残っている。
解説2 レジナルド・スコットによって記述されている。
人々は色々な妖精のために牛乳を出しておくが、これもそうした妖精のひとつである。
キイトリイは、ブルベガーは、あるいはバッグ・ベアーの訛かもしれないと言っている。
Burlow Beanie 和名 バーロウ・ビーニー
地域 ---
解説 「アーサー王とコーンウォールの王」というバラードに出てくるホブゴブリンの名。
Bwbachod 和名 ブバコッド/ブゥバホッド
地域 ウェールズ
解説1 ウェールズのブラウニー。
人間に対して好意的でよく働くが、非国教徒と絶対禁酒主義者が嫌いだった。
解説2 [ブラウニー] のウェールズ名。親しみやすく、勤勉だが、非国教徒と絶対禁酒主義者を嫌う。
メソジスト派の牧師と口論する [ブゥボッホ] の面白い話を、サイクスは伝えている。
Bwca 和名 ブーカ
地域 ウェールズ
解説1 ウェールズのボガートまたはブラウニ−。
ボガートになったブラウニ−、鼻のあるブーカの話などがある。
解説2 ウェールズ [ボガート] の一種。
Bwganod 和名 ブガノッド/ブゥガノッド
地域 ウェールズ
解説1 ウェールズのホブゴブリン
解説2 ウェールズ [ボギー] の一種。

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